Anthropicが開催した開発者向けイベント「Code with Claude 2026」では、Claudeを使ったソフトウェア開発の進化が大きなテーマになりました。
InfoQの記事では、Claude Codeの新機能、Claude Managed Agents、GitHubやVercelなどの活用事例、そしてAIエージェントを本番環境で動かすためのインフラや安全設計が紹介されています。
今回の内容を見ると、AI開発支援の焦点は「AIがコードを書けるか」だけではなく、「長い作業をどう任せるか」「人間がどこで確認するか」「安全に動かすための仕組みをどう作るか」に移ってきていることが分かります。
Code with Claude 2026で何が語られたのか
Code with Claude 2026は、Anthropicが2026年5月6日にサンフランシスコで開催したイベントです。
公式イベントページでは、Claude Code、Claude Platform、Researchといったトラックに分かれ、Claude Codeの新機能、GitHub規模での活用、Claude Managed Agents、本番運用に向けた設計などのセッションが公開されています。
InfoQの記事によると、イベント全体の軸は、モデル性能の進化がプロダクト設計、組織設計、インフラコストにどう影響するかという点にありました。
つまり、単なる新機能紹介ではなく、AIエージェントを現実の開発現場でどう使うかが中心テーマになっていたと見てよさそうです。
Claude Codeは「開発作業の入口」を広げている
Claude Codeは、Anthropicが提供する開発者向けのAIコーディングエージェントです。
Anthropicの公式ページでは、Claude Codeについて、ターミナル、IDE、Slack、Web、デスクトップなど、開発者が普段使う場所からコードベースに直接働きかけられるものとして説明されています。
InfoQの記事では、Claude Codeの最近の更新として、別の端末から作業を継続できるリモート操作、デスクトップGUIの改善、メッセージを章のように固定する機能、インラインの差分コメントなどが紹介されています。
言い換えると、Claude Codeは「コードを書くAI」から、「開発作業の流れ全体に入ってくるAI」へ近づいているということです。
コードの修正だけでなく、作業の整理、レビュー、テスト、プルリクエスト作成まで、開発プロセスの複数の場面にAIが関わる方向です。
Managed Agentsは長い作業を任せるための仕組み
今回の大きなポイントの一つが、Claude Managed Agentsです。
Anthropicの公式ドキュメントでは、Claude Managed Agentsは、長時間かかる作業や非同期の作業に向いた、管理されたインフラ上で動くエージェント基盤として説明されています。
従来、自社でAIエージェントを本番運用するには、エージェントのループ、ツール実行、実行環境、ファイル操作、セキュリティなどを自分たちで組み立てる必要がありました。
Managed Agentsは、その部分をあらかじめ用意された環境として提供する考え方です。Claudeがファイルを読み、コマンドを実行し、Webを参照し、コードを安全な環境で動かすための土台を持つ、という方向です。
これは、AIを「チャット相手」として使う段階から、「一定の作業を預ける相手」として扱う段階への変化だと言えます。
自律性が上がるほど、安全設計が重要になる
InfoQの記事では、Claude Codeのauto modeやworktreesにも触れられています。
auto modeは、操作の許可判断を分類器に任せ、破壊的な操作やプロンプトインジェクションを検出する方向の機能として紹介されています。worktreesは、Claudeが隔離されたブランチを使って作業できるようにする仕組みです。
AIが自分で作業を進められる範囲が広がるほど、「何を許可するか」「どこで止めるか」「どの環境で実行するか」が重要になります。
ここでいうプロンプトインジェクションとは、外部の文章やWebページに紛れ込んだ指示によって、AIが本来とは違う行動をしてしまうリスクのことです。
worktreesは、開発中の変更を本体のコードから分けて扱うための作業場所です。AIが複数の修正を試す場合でも、影響範囲を分けやすくなります。
AIに任せる範囲を広げるほど、人間が確認すべき境界線を明確にすることが大切になります。
GitHubやVercelの事例が示すもの
InfoQの記事では、GitHubやVercelのセッション内容も紹介されています。
GitHub側では、膨大なメッセージを扱ううえでキャッシュ効率が重要な指標になっていること、難しいケースだけ大きなモデルに相談する「advisor」のような構成が紹介されています。
Vercel側では、より賢いモデルによってツール設計が変わり、あらかじめ大量の専用ツールを用意するよりも、モデルがサンドボックス内で中間的なコードを書いて進める方向に寄っていることが語られています。
ここから見えてくるのは、AI活用が単純な「高性能モデルを使えばよい」という話ではないことです。
コスト、キャッシュ、レビュー、権限、サンドボックス、モデルの使い分けといった設計が、実用上の差になってきます。
開発支援の流れとして見えること
今回の話は、AI開発支援が単発の補助ツールから、継続的な作業基盤へ移りつつあることを示しています。
AIツールは、単発の回答を返すものから、複数の作業をまとめて進めるものへ変わりつつあります。
開発現場では、たとえば次のような流れが一つにつながり始めています。
- 既存コードを読み、構造を把握する
- 修正方針を立てる
- コードを書き換える
- テストや差分確認を行う
- 人間がレビューし、取り込むか判断する
こうした流れを支えるには、モデル性能だけでなく、作業環境、権限管理、履歴の保持、コスト管理が必要になります。Managed AgentsやClaude Codeの更新は、その周辺部分を整えようとする動きとして見ることができます。
ただし、AIができることが増えるほど、最後の確認をどこに置くかが重要になります。特に公開、課金、顧客データ、権限変更に関わる作業では、人間の確認を残す設計が必要です。
注意点
今回紹介された内容には、まだ発展途上のものも含まれます。
Claude Managed Agentsは公式ドキュメント上でベータとして扱われており、一部機能には研究プレビューの要素もあります。利用条件、データ保持、対応機能、レート制限などは、実際に使う前に公式情報を確認する必要があります。
また、AIエージェントを本番業務に入れる場合は、便利さだけでなく、セキュリティ、監査、コスト、失敗時の復旧手順も考える必要があります。
AIが長い作業を進められるようになるほど、どの作業を任せ、どこで人間が確認するのかを決める運用ルールが重要になります。
まとめ
Code with Claude 2026で示された流れは、AI開発支援が次の段階に進んでいることを示しています。
焦点は、コード生成そのものから、長い作業の管理、複数ツールの利用、権限設計、安全な実行環境、本番運用へ広がっています。
Claude CodeやClaude Managed Agentsのような仕組みは、開発作業の進め方だけでなく、チームがAIにどこまで任せ、どこで確認するかという運用設計にも影響していく可能性があります。
大切なのは、AIに任せる範囲を広げながらも、公開や重要な判断の前には人間が確認する流れを残すことです。
参照元URL:
- https://www.infoq.com/news/2026/05/code-with-claude/
- https://claude.com/code-with-claude/san-francisco
- https://claude.com/product/claude-code
- https://platform.claude.com/docs/en/managed-agents/overview


