MiniMaxは2026年8月13日、音楽生成モデル「MiniMax Music 3」のモデルウェイトを公開しました。7月16日にサービス版として登場したMusic 3.0をローカル環境で実行できるようになり、ComfyUIもバージョン0.33でネイティブ対応しています。
歌詞と音楽の説明を入力すると、イントロ、主歌、サビ、ブリッジ、間奏、アウトロを含む最大5分の楽曲を生成できます。出力は32kHz・16bitのステレオ音声で、歌声や楽器だけでなく、曲全体の構成やセクションごとの展開までまとめて生成するモデルです。
MiniMax Music 3の特徴
曲全体の流れを扱う8BのGlobal LLMと、各フレームの細かな音響情報を補う0.6BのLocal LLMを組み合わせています。2つのLLMが生成した情報を2.4BのFlow Matchingモデルで音声の潜在表現へ変換し、123MのFlow-VAE Decoderでステレオ音声に復元します。
Global LLMはメロディ、リズム、歌詞、ボーカルの一貫性、楽曲構成を長い時間軸で処理し、Local LLMは声質や楽器の質感などの細部を担当します。この階層構造によって、短い音楽クリップだけでなく、複数のセクションを持つ完成曲を生成できます。
主な仕様は次のとおりです。
| 項目 | 内容 |
|---|---|
| 最大生成時間 | 約5分 |
| 入力 | Caption+Lyrics |
| Global LLM | 8B、Qwen3-8Bベース |
| Local LLM | 0.6B |
| Flow Matching | 2.4B |
| Flow-VAE Decoder | 123M |
| 出力 | 32kHz・16bit・ステレオ |
| ComfyUI対応 | バージョン0.33でネイティブ対応 |
ComfyUIで読み込むモデル
ComfyUI公式テンプレートでは、音楽生成モデル、テキストエンコーダー、音声VAEの3ファイルを読み込みます。テンプレートの初期構成は、FP16のDiTとINT8 ConvRotのテキストエンコーダーを組み合わせています。
| 種類 | ファイル名 | サイズ |
|---|---|---|
| 音楽生成モデル | minimax_music3_dit_fp16.safetensors | 4.91GB |
| テキストエンコーダー | minimax_music3_text_encoder_pruned_int8_convrot.safetensors | 9.2GB |
| 音声VAE | minimax_music3_dav.safetensors | 217MB |
必要なファイル容量は合計約14.3GBです。テキストエンコーダーには、CaptionとLyricsの処理に加えて、8BのGlobal LLM、0.6BのLocal LLM、Condition Encoderなどがまとめられているため、DiTよりもファイルサイズが大きくなっています。
低VRAM向けには、2.5GBのminimax_music3_dit_int8_convrot.safetensorsも用意されています。DiTをこちらへ変更すると、3ファイルの合計は約11.9GBになります。
| DiT | DiTのサイズ | 3ファイルの合計 |
|---|---|---|
| FP16 | 4.91GB | 約14.3GB |
| INT8 ConvRot | 2.5GB | 約11.9GB |
公式ワークフローの設定
テンプレートライブラリの「Audio」から「MiniMax Music 3」を開くと、専用の生成ノードと音声保存ノードを接続したワークフローが読み込まれます。生成ノードにはCaption、Lyrics、最大時間、Seed、3種類のモデル、Tiled decodeがまとまっています。
添付の公式ワークフローでは、生成時間が60秒、Tiled decodeが有効になっており、完成した音声はMP3のV0品質で保存されます。長尺生成でメモリ消費が増える場合はTiled decodeによって音声VAEのデコードを分割できます。
| 設定 | 初期値 |
|---|---|
max_duration | 60秒 |
| DiT | FP16 |
| Text Encoder | Pruned INT8 ConvRot |
| Tiled decode | ON |
| 保存形式 | MP3・V0 |
MiniMax Music 3のプロンプトガイド
入力は、曲調や歌声、編曲を指定するCaptionと、実際に歌わせる歌詞を入力するLyricsに分かれています。短い自然文でも生成できますが、細かく制御する場合はCaptionをGlobal Metadata、Vocal Details、Arrangementの3区分で構成します。記述言語は英語が基本です。
Global Metadata
ジャンルとサブジャンル、テンポ、曲全体の感情の変化、音質や制作スタイルを記述します。BPMやキーは、狙いが決まっている場合に指定します。落ち着いた曲を作るために正確な数値まで決める必要がなければ、slow, gently flowing tempoのように速度感を言葉で指定できます。
Vocal Details
歌声の有無、人数、声域、声質、歌い方、ハーモニー、ボーカルエフェクトを記述します。インストゥルメンタルでは、ボーカルを入れないことに加えて、主旋律を担当する楽器や音色をここへ記述します。
Arrangement
楽器の一覧ではなく、曲の進行に沿って各セクションの変化を記述します。イントロで何から始まり、次のセクションで何が加わり、どこで音数や強さが変わり、最後にどのように終わるかを組み立てます。楽器の出入り、演奏パターン、音域、ダイナミクス、セクション間の移行を具体的にすると、長尺での展開を指示しやすくなります。
Lyricsとセクションタグ
Lyricsに入力した本文が実際に歌われ、角括弧で囲んだタグが曲の構成や各セクションの演奏を指示します。タグは単独の行に置き、[Intro]、[Verse]、[Pre-Chorus]、[Chorus]、[Post-Chorus]、[Bridge]、[Instrumental]、[Solo]、[Outro]などを曲順に並べます。
ピアノソロのようなインストゥルメンタル曲では、Lyrics欄に歌詞を入れず、次のように構成タグだけを配置できます。
[Intro]
[Instrumental]
[Bridge]
[Instrumental]
[Outro]
タグに演奏内容を加える場合は、その指示を同じセクションのArrangementにも反映します。CaptionとLyricsで指示が競合した場合は、明示した条件、タグによるセクション内の指示、Captionから読み取れる強い条件の順に優先されます。
music-caption-rewriterスキルの導入方法
music-caption-rewriterは、短い音楽の説明とセクションタグ付きのLyricsから、MiniMax Music 3向けの構造化Captionを作成します。スキル機能に対応するAIエージェントへ導入でき、外部APIやモデルウェイトを呼び出さず、収録されたテキスト資料を基にプロンプトを組み立てます。
リポジトリには18種類のジャンル索引と1,000件のCaptionテンプレートが収録されています。入力されたジャンル、テンポ、歌声、楽器、雰囲気を基に対象ジャンルを選び、最大3件のテンプレートを「曲全体の方向性」「追加する要素」「セクション展開」の参考として読み込みます。各テンプレートから必要な要素だけを参照し、入力した条件を中心に新しいCaptionを作成します。
AIエージェントに依頼する
簡単なのは、Agent Skillsに対応するAIエージェントへ次のURLを渡し、music-caption-rewriterのインストールを依頼する方法です。
このURLにあるmusic-caption-rewriterスキルを追加して。
https://github.com/MiniMax-AI/MiniMax-Music3/tree/main/skills/music-caption-rewriter
skills CLIで追加
npx skills add MiniMax-AI/MiniMax-Music3 --skill music-caption-rewriter
このコマンドでmusic-caption-rewriterがエージェントのスキルディレクトリへダウンロードされ、$music-caption-rewriterで呼び出せる状態になります。
エージェントはフォルダ名でスキルを検出するため、music-caption-rewriterという名前は変更しません。導入後は$music-caption-rewriterを指定し、作りたい曲、Lyrics、長さ、除外したい要素を自然文で伝えます。
プロンプトが作られる流れ
スキルは入力内容から曲の設計を作り、次の順序でCaptionへ展開します。
- ジャンル、雰囲気、テンポ、歌声、主要楽器、曲構成、除外要素を抽出
- Lyrics内のセクションタグと、セクションごとの演奏指示を取得
- 18種類のジャンル索引から対象ジャンルを選択
- ジャンル、テンポ、楽器、雰囲気が近いテンプレートを最大3件選択
- 楽器の出入りと曲の強弱をセクション単位で設計
Global Metadata、Vocal Details、Arrangementの順に英語で出力
出力は約250~450語が基準です。指定していないBPM、キー、歌声、楽器はテンプレートから追加せず、ユーザーが明示した条件を優先します。インストゥルメンタルの指定は維持され、歌詞本文はCaptionへ転載せず、角括弧で囲まれたタグだけを構成と演奏の指示として参照します。
必要VRAMと生成速度
フル精度モデルは24GB未満のVRAMに収まり、CPUオフロードを有効にしたDiffusers実装では約22GBを使用します。さらにGlobal LLMをレイヤー単位でGPUへ移動する低VRAM設定が用意されており、8GBのGPUでも実行できます。この8GB向け設定はDiffusersの実装例で、ComfyUI公式テンプレートはINT8 ConvRotモデルとDynamic VRAMによってメモリを管理します。
公開当日の生成例では、140秒のボリウッド・ラップを約125秒で生成した実測が報告されています。使用GPUは掲載されていないためGPU別の比較には使えませんが、生成時間より長い楽曲を実時間以内で出力した例として参考になります。
公開直後の評価
Redditでは、ACE-Step XLよりボーカルと全体の音質が良いという反応が出ています。投稿された140秒の楽曲では、長尺でも歌声と曲の構成が維持されており、完成曲としてのまとまりが評価されています。
ボーカルに電子的な響きが残るという指摘もあり、Sunoとの比較では音質やジャンル対応の幅で差があるという意見が見られます。軽いポップス、クラシック、中国系の楽曲を評価する声がある一方、ロック、ヘビー系、電子音楽、英語以外の歌唱については公開直後から弱さを指摘する投稿が出ています。日本語歌唱、インストゥルメンタルの音質、FP16とINT8 ConvRotの差は、ComfyUIで実際に生成して検証したいポイントです。
MiniMax-Music3 Community License
モデル本体には独自の「MiniMax-Music3 COMMUNITY LICENSE」が適用されます。商用利用では製品またはサービスの画面に「MiniMax-Music3」を表示し、関連する製品・サービスの年間合計売上が2,000万ドルを超える場合はMiniMaxの事前承認が必要です。第三者へ生成機能を提供するサービスには、権利侵害やライセンス違反を防ぐための対策も求められます。
ComfyUI向けモデルを配布するComfy-OrgのページにはApache 2.0と表示されていますが、利用条件はモデル本体のCommunity Licenseを基準に扱います。
長尺の完成曲をローカルで生成できる音楽モデル
最大5分の楽曲、長い時間軸を扱う8B Global LLM、歌詞と編曲を分けた入力、ComfyUIへのネイティブ対応が今回の公開の中心です。公式テンプレートは3ファイルを選んでCaptionとLyricsを入力する構成にまとめられており、FP16 DiTとINT8テキストエンコーダーの組み合わせからそのまま生成を始められます。
ACE-Step 1.5より大きなモデルですが、長尺での曲構成、ボーカルの一貫性、セクションごとの編曲を重視する場合は有力な選択肢になります。まずは公式設定の60秒で音質と生成時間を測り、その後に長尺化、INT8 DiT、日本語歌唱、インストゥルメンタルを比較すると、モデルの特徴を把握しやすくなります。


